開発こぼれ話

さすまたの弱点について(施設の防犯対策・不審者対応)

2022年5月20日作成/2024年8月27日更新

今回は佐野機工でも開発・製造から販売まで行っている防犯グッズの「さすまた」についてお話したいと思います。

佐野機工の公式サイトの中でも、さすまた関連のページは特に多く閲覧いただいいます。それだけ多くの方が施設の防犯対策にお困りなのだと実感しています。

この記事では施設へ防犯製品の導入を検討されている方はもちろん、既にさすまたをお持ちの方や使用に不安がある方など皆さまにお読みいただきたい内容をまとめました。

 

このページのもくじ
1.  そもそも「さすまた」とは?
2.  「さすまた」使いこなせますか?
3.  万が一の不審者対応のために、施設が準備できることは?
4.  最適な防犯製品は、使用環境によって異なります
 
 

軽量刺又 民間施設の防犯器具

佐野機工オリジナルさすまた

昨今多発している凶悪な事件。
施設や店舗への不審者侵入など、現場のスタッフや利用者をどのように守るかは喫緊の課題で、施設の危機管理担当の方からお悩みの声を多くいただいています。

そんななか、防犯カメラなどの設置と併せて検討されるのがさすまたの導入です。
Amazonなどのインターネット通販でも比較的手軽に入手できるため、身近な防犯グッズですよね。

 

そもそも「さすまた」とは?

最も身近な防犯製品といえば、多くの方が「さすまた」が思い浮べるのではないでしょうか。

刺又・刺股・刺叉など書き方はさまざまですが、長い持ち手にU字型の先端金具がついた防犯器具のことを指します。
U字型先端で不審者を取り押さえるように設計されています。

取り回しがよく繰り返し使えることから、現在も警察をはじめ民間の警備会社等でも主力の防犯製品として採用されています。
日本国外でも似た役割の防犯製品が普及していますが、もともとは江戸時代からある日本特有の防犯製品です。
制止力に欠ける反面、過剰に相手を傷つけないという日本独自の防犯への考え方が反映されていますね。

さすまた訓練 保育園にて こどもを守る

過剰に相手を傷つけないからこそ、これだけ一般の施設に普及したともいえます。

 

「さすまた」使いこなせますか?

私たち佐野機工では「ケルベロス」「不動(ふどう)」「弁慶(べんけい)」をはじめとする複数製品を、栃木県警察からの依頼を受けて開発・製造してきました。いずれも警察庁長官賞を受賞しています。

そんな経緯もあり、施設の危機管理担当の方からご相談をいただくことも多いのですが、「さすまたの使い方に不安がある、使いこなせない」というお悩みをお持ちの方が非常に多いです。

そのように悩むのも当たり前で、不審者対応のプロである警察でも、さすまたは複数用意し大人数で不審者を押さえこむのが大前提。少人数で凶悪な不審者に対応することは想定されていません。

● コンパクトで省スペース
● 比較的安価で入手しやすい
● 丈夫で繰り返し使える
● 相手を傷つけるおそれが少ないため、訓練を実施しやすい
など、さすまたは防犯製品として優れた面もたくさんあります。
特性を十分に理解し正しく使用することができれば、頼もしい存在です。

ただし、その一方で弱点や短所も持ち合わせています。

 

使いかたが難しく、腕力や技術が必要

女性スタッフの方が多い施設などは、力や技術が必要になる従来のさすまたは不向きです。
たとえ不審者をさすまたで捕えることができたとしても、長時間にわたり取り押さえ続けることは非常に難しいです。
さすまたは不審者側からコントロール力しやすい形状のため、ふた股の先端を握られて振り回される可能性も高く使用者が危険にさらされます。

自立できないため、使用が想定される場所に常設が難しい

緊急時にすぐに取り出しにくい物置などに保管されている…といった状況も残念ながら多いようです。
また、定位置が決まっておらず、どこにあるか全員が把握していない…などというケースもあります。
一刻を争う事態に、取り出しに手間取ってしまうのは非常に危険です。

倉庫にしまわれるさすまた

保管・設置場所の検討と周知は非常に大切です

「1本だけ」では、非常に危険

また施設規模を問わず、さすまたを「1本だけ」しか導入していないケースもご相談をいただきますが、不審者対応において1対1は厳禁です。
さすまたに限らず防犯製品は複数用意し、できるだけ沢山の方が使いこなせるように繰り返し訓練していただくことを推奨します。

さすまた訓練

臨場感あふれるこちらの写真は佐野機工の防犯製品を使用した社内防犯訓練の様子です。
使用者3名それぞれが「腕」「胴」「脚」を抑え込んでいます。

 

万が一の不審者対応のために、施設が準備できることは?

万が一不審者が施設に侵入してきた場合、何より優先すべきことは「とにかく安全に逃げ切ること」です。

施設からご相談をいただいた際には、まず安全に逃げることを優先したシミュレーションを行っていただくようご案内しています。不審者が侵入した場合に備えて、避難経路や手順を繰り返し見直し、全員で共有いただくことが大切だと考えます。

実際にあった施設への不審者侵入ニュースを取り上げ「自分たちの施設ならばどう対応するか」をディスカッションしていただくのも効果的だと思います。定期的に防犯対策についてお話しいただく機会を設け、防犯意識を高めていただくことが最も手軽で重要なポイントです。

施設に防犯訓練実施ステッカーを掲示したり、ホームページやSNSなどで防犯に対する取り組みをアピールしていただくことも大きな抑止力になります。佐野機工では製品を導入いただいたお客さまに、屋外貼付用ステッカーを配布しています。

さすまたなど防犯製品を準備し、万が一の事態に備えることは危機管理上重要なことですが、実際に使用するのは最終手段です。

佐野機工の防犯製品は戦うための武器ではありません。
通報から警察が到着するまでの数分間、できるだけ安全に避難できる状況を確保するための手段です。

 

最適な防犯製品は、使用環境によって異なります

そのうえで、万が一、不審者対応をしなければならなくなった場合を想定し、さすまたなど防犯製品を準備し訓練を行うことは平時にできる取り組みとして非常に大切です。

佐野機工では警察からの依頼を受けて、新しい防犯製品の開発・製造から販売、さらに不審者対応訓練のサポートまで行っています。施設のスタッフ構成や使用環境をお聞きしたうえで、最適な防犯製品をご提案させていただきます。

 

例)壁のない広いスペースで使える防犯製品がほしい

一般的なさすまたは壁を利用して不審者を取り押さえる必要があるため、広いエントランスなど近くに壁がないスペースで使用するには不向きです。
佐野機工の「ケルベロス」は、壁のないスペースでも不審者を拘束でき、拘束後には不審者から離れることが可能です。

 

例)女性スタッフが多いため簡単に使える防犯製品がほしい

暴れる不審者を女性の力だけで取り押さえることは、実質不可能です。まず、不審者の体勢を崩し、その隙に複数人で抑え込むなど、「力」以外で不審者に対応する方法を検討する必要があります。
佐野機工の「不動」は軽量で取り扱いやすく、簡単な操作で不審者の手足の自由を奪い「不審者の隙をつくる」ことに特化しています。

 

このように、想定状況や導入環境によって適した防犯製品は異なります。
佐野機工ではご予算や、想定状況・施設規模など状況に応じて防犯製品のコーディネートを提案させていただきます。

 

お気軽にご相談ください

まずはお気軽にご相談ください。繰り返しの営業などは一切行いません。

おかげさまで大変多くのお問い合わせをいただいています。
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・法人名、担当者名などをお聞きしてからご案内させていただきます。
・価格についてのご案内は原則正式なお見積り依頼を承ってからとさせていただきます。

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不審者対応訓練サポート

私たち佐野機工は防犯製品の特性上アフターフォローが重要だと考えており、製品を導入いただいたお客さま向けに「不審者対応訓練サポート」も行っています。
防犯アドバイザーがお客さまの要望・課題をヒアリングし、訓練プランをご提案し、実施までワンストップでサポートいたします。ケルベロス、不動、弁慶など佐野機工の防犯製品の使いかたレクチャーも含みます。

詳しくは下記ページをご覧ください。

 

 

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